こもれ日にすかして見える雪の屋根

枯れ草や秋を迎えて金色に

函館の輝く夜をグラスごし

見えなくて悲しくなって虹をみる

今ありて見えなくなりてあるんだよ

見上げてるガラスのむこう白き雲

眩しきの想いの窓にすがたみぬ

語らいのワイングラスに日暮れ待つ

新しいメイル待つなり古ポスト

レンガより赤くなりにし倉庫街

朝市で いらしゃいませと タラバ蟹

旅に来て朝日まぶしき寝台車

棚田にて我ら迎えるかかし達

汐風や岩に寄り添うすすきかな

高き塔夜空にゆらぎ虹になり

コスモスと風に遊びしキラキラと

花の終演

庭の木に宝石光る柘榴かな

秋近し衣変えたりカンナの葉

水音に此岸と彼岸感じつつ

宇治の地に鳳凰ありて源氏の香

弁柄のいろのあせにし幾秋か

秋の夜の揺らぐ火のなか謡響き

秋の陽が湖面にうつす鳥居かな

遠く来て一人祈る秋の寺

秋雨にいろどり交わす傘のもと

コスモスにストロー刺して美味しげに

君と来て

静かにながめる秋彩にひかり輝く永久を夢見る

君なくて宇治のいらかに秋の彩